アナジャコ(マジャク)釣り

新型コロナウイルスの影響で3密を避けるために外出を自粛している方々にオススメのアクティビティは「シャク釣り」です。

シャクとは、アナジャコと呼ばれるシャコに似た甲殻類です。

熊本では「マジャク」とか「シャク」と呼ばれることが多く、荒尾地域や八代地域の干潟で採れます。

熊本ではスーパーなどで生きた状態のアナジャコが1匹100円程度で販売されており、一般的には殻つきのまま唐揚げや天ぷらで食することが多く、殻が苦手な方は塩ゆでしてから尻尾の部分の殻を取り身の部分だけ食べることも可能。シャクみそと呼ばれる珍味もあり、酒のあてにはもってこいですが、味にクセがあるため、好きな方は大好き、苦手な方は全く食べれない食材でもあります。

 

シャク釣りをしたことがない人のために、必要なものをピックアップ!

①筆…これが無いと釣れません。4年間シャク釣りをした経験から言うと、細い筆よりも太い筆の方がやりやすいです。ひとり2~30本くらいあったほうがいい。

②鍬…サビないように鉄製よりアルミやステンレス製がオススメ。特に軽い方が持ち運びが疲れない

③帽子…熱中症対策

④長靴…ぬかるみで足を取られるようなら、渓流釣りで使うようなウェダーと呼ばれるズボンタイプの長靴がオススメ(ベテラン勢は皆これを使っている)

⑤カゴ…釣れたシャクを入れておくカゴ

⑥飲み物…水分補給は必須

⑦タオル…いろいろと役に立ちます

とりあえずこれくらいあれば大丈夫。

 

あと、あったほうがいいものは、

⑧農業用の作業いす

尺取りは数時間しゃがみっぱなしでいることが多く、意外と足腰に負担がかかります。その際、農業用のいすを使うと結構便利で疲れません。特に発泡スチロール製のものが軽くて楽ちん。

発泡スチロールが削れていかないように画像のようにカバーがついているものがありますが、その際は防水性のものを選ばないと(布製のものだと)海水を吸ってしまい重たくなりますし、メンテナンス(泥落とし)が面倒です。

ちなみに年に1回程度しか行かないなら簡易的なものがAmazon等でも販売しています。

私の場合は釣れたアナジャコを入れる小さめのクーラーボックスをいす代わりにしています。

⑨軍手…指先保護

⑩スコップ…穴の出口付近で動かなくなったアナジャコを掘り出す際に必要

⑪桶…土手の中の海水を掻き出すのに使う

⑫洗濯ばさみ…共釣りをする際に必要

⑬着替え…初心者はたぶん泥まみれになります(笑)

 

 

さて、肝心の筆ですが、そのままで使用すると、シャクの穴に入れた途端、筆が穴の奥まで落ちてしまい回収不能になることもしばしば。

そのために筆のお尻の部分に荷造り用のPPバンドを付けます。

これを付けることで風が当たって筆に振動が加わり、アナジャコがより反応して上に出てきてくれるとのこと。

また穴の奥に筆が落ちてしまうことも防げます。

皆さんそれぞれ工夫をしていろんな形や材料を筆のお尻にくっつけて釣っていらっしゃいます。

 

 

 

【シャク釣り用の筆の作り方】

★用意するもの

  筆(100均で購入。ダルマ型書道筆 太筆2号)

  梱包用のPPバンド

  ビニールテープ

  ハサミ

 

PPバンドを適当な長さに切ります

 

 

 

ビニールテープで筆とPPバンドを固定

 

 

 

はい完了(笑)

 

 

 

完成形はこんな感じ

 

 

 

それをたくさん作ります

実際使う際は筆先の毛についている糊を水道水で落としてバラバラにほぐしておくこと。

以上。

 

 

 

★では実践!

干潮の時間を事前に調べておいて現地へ

 

 

 

以前勤めていた職場の先生たちと一緒にいざ出陣

 

 

 

鍬を使って泥を数センチ掘り、掘った泥でもんじゃ焼きのように「土手」を作ります。

この土手がある事で掘った場所に海水が流れ込んでしまうのを防ぎます。

海水が流れ込んでくると掘った場所が濁って穴が分からなくなったりするからです。

また鍬で泥を掬うときは救った泥を落とさないようにすること!アナジャコの穴に泥が落ちると穴が塞がってしまったり、隠れて見えなくなってしまいます。

 

地元のベテラン勢は鍬の縁を板金屋さんに頼んでヘリを作って溶接してもらい、掬った泥が落ちないように改造している人も多くいます。

また鍬先を包丁のように研いで、泥をサクッと掬えるようにも改造している人も多くいます。

握り手もグリップが利くように削ったり、ゴムを巻いたりと、各々一品物の鍬を皆さん持っております。(す、すごい!)

 

 

 

数センチ掘るとこんな感じでシャクの巣穴が出てきます。

 

 

 

そこに筆をどんどん入れていきます。

 

 

 

アナジャコのアタリがきたら格闘開始!

アタリとは筆が穴から押し出される状態で、筆を入れた直後にアタリが来るときもあれば、しばらくしてからアタリが来るときも。アタリの反応がない時は筆を少し上下に動かして水流を作るといいです。

皆さん、シャク釣りは筆を差し込んだら勝手に筆にアナジャコがくっ付いてきて釣れると勘違いしている人が多いですが、そんな甘くありません。

アナジャコが筆を押し上げてきますので、上に押し出される筆を見つけたら、筆を上手に操作し穴の入り口までおびき出すことが必要になります。

この動かしておびき出す作業は何度もトライ&エラーで感覚を覚えるのみ!

コツは反応があった筆を持ち、アナジャコの頭をなでるように刺激を入れ、アナジャコの動きに合わせて筆を押したり引いたりすること。

片手で筆を操作、もう片方の手の指先を穴の出口付近にセットしておきます。

穴の出口の上までアナジャコの爪や頭が出てきたら(出口付近の指先にアナジャコの前足が当たる感触が分かるはずです)、指先でアナジャコの前足(両足だと確実、片足のみだと自切されて逃げてしまうことが多い)を摘み、間髪入れずに引き抜く。

 

 

 

アナジャコの前足を掴んだとたんにアナジャコは穴の側壁に足や身体を押し付けて引き抜かれないように抵抗します。

引き抜くタイミングや前足を掴むタイミングが悪いとこの状態で互いに膠着状態に入ります(笑)

大抵はアナジャコが自切(自分で前足を切り離す)して穴の奥に逃げてしまいます。

こうなるとこの穴のアナジャクはもう出てきません。諦めて次の穴のアナジャコに挑戦しましょう。

こんな時に役に立つのが、先ほど⑩で紹介したスコップ。

アナジャコを穴の出口付近で押さえつけておき、スコップで周りから泥ごとほじくってGET。

ただし隣接する他の穴も破壊してしまうので、使うタイミングは慎重に。

 

 

初心者は一日で3~5匹釣れれば上等。

コツがつかめないと一匹も釣れないこともザラです。

目標は10匹。

達成したら今度は20匹。と毎回目標を設定するといいでしょう。

 

ちなみにベテラン勢のじいちゃん ばあちゃん達は毎回3~5キロ(単位が違う!)釣ります。

1キロ当たり50~60匹なので、単純に150~300匹釣れている計算になります。中には7キロ(400匹以上)取る達人もいるそうです。

釣っている姿を見ていると、まるで筆にアナジャコが磁石でくっ付いているかのごとくポンポン釣り上げていくので、初心者は「筆を引き抜くだけで釣れる」と勘違いするのかも。

 

興味がある方はぜひ「シャク釣り」チャレンジしてみてください。

私はシャク釣り4年目にしてやっと70匹釣れるまで成長しました。

 

小さい子どもさんがいるご家庭は「マテ貝取り」がオススメ。筆の代わりに食塩を穴に入れるとマテ貝が出てきますので、それを引き抜くだけ。簡単です。ちなみにアナジャコとマテ貝はポイントが異なりますのでシャクの穴に食塩を入れてもダメですよ。穴の大きさも全然違います。熊本だと宇土の御輿来海岸でマテ貝がとれます。

 

 

 

【アナジャコの調理法】

 

一番メジャーなのは唐揚げ(天ぷら)。素揚げでもよし、小麦粉や片栗粉をまぶして油で揚げても良し。

流水で何度か洗い、身についた泥を落とします。

アサリのようにしばらく水(真水でOK)に入れておくと砂を吐いてくれます。

シャクは汽水域に住む生物のため、真水に入れていても数時間は全然問題なく生きています。

尻尾のビラビラ(腹肢)は泥がついていたり味が落ちる原因となるためちぎっておきます。

180度の油で1~2分程揚げて塩を振れば完成。

 

 

 

【塩茹でで調理する方法】

流水でしっかり洗って身についた泥を落とします。

エビ同様に串を打ちます。尻尾の身を崩さないようにするため、腹側の殻と身の間ギリギリに串を打ちます。

 

 

塩を入れたお湯で1~3分(エビと違って火が入り過ぎても身が固くなり過ぎることはあまりありません)塩茹でします。

 

 

ザルにあけ、流水で粗熱を取って串を抜きます。

 

 

すぐ食べるなら殻をむいてしまっていいですが、画像のように尻尾の両脇をハサミで切っておくことで、身が乾燥してパサパサになるのを防ぎつつ、食べる時は殻がすぐ剥けるので便利。

頭の部分はほとんど身も味噌も入っていないので食べるところはありません。

 

 

 

【珍味!シャクみその作り方】

シャクみそは人によって作り方は様々です。

水洗いし、腹肢を取った生のアラジャコをそのままミキサーにぶち込んで殻が口に残らない程度まで砕き、塩、醤油、味醂、味噌などをお好みの量入れてかき混ぜれば完成。

シャクみそを作る際に注意点が一つ。アラジャコには稀に致死率の高い人食いバクテリアが付着していることがありますので、加熱調理の場合は熱で死滅させることができますが、生食の場合はしっかりと流水で洗った後に、冷凍させて死滅させた方がいいです。

 

私のシャクみその作り方は、

①流水で水洗いしたアラジャコを頭と尻尾の部分のふたつに分けます。

 

②すりこ木棒や湯呑を横にしてローラのように転がしながら尻尾の身や、頭の味噌を押し出します。殻は使いませんので捨てます。捨てずに唐揚げにしてもいいですよ。

 

包丁で軽くたたきます。

天然塩、焼酎(もしくは日本酒)、醤油で味付け。分量は味見をしながらお好みで。

冷凍保存可能ですが、酸化することで次第に黒く変色していきます。味は変わりません。

 

 

塩茹でして殻をむいたアラジャコの身にシャクみそを絡めても美味しいですよ。

酒のあてにはピッタリの一品です。

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